カタログ · 製造工程
どの部品を鍛造し、どれを棒材から旋削し、どれを線材から冷間圧造するのか。フェルールになぜ焼なましが必要なのか。アダプタや継手にどの鋼を使い、6000 psi フランジの製造では何が違うのかを解説します。
素材を作る三つの方法
カタログのどの部品も、まず素材(ブランク)から始まります。素材をどう作るかによって、部品の強度と価格、さらにはどのくらいのロットで発注すると有利かまで決まります。当社の工場では三つの方法を使っています。
- 熱間型鍛造。棒材から切断したビレットを加熱し、プレスで鍛造します。金属は金型の彫り込みを満たし、部品の形になります。エルボ、ティー、クロス、複雑な形状の本体、大径のホース継手、フランジはこの方法で作ります。
- 棒材からの旋削。丸棒または六角棒から、自動旋盤や CNC 旋盤で部品を削り出します。ストレートアダプタ、プラグ、ニップル、ナットはこの方法で作ります。
- 線材からの冷間圧造。コイルの線材を短く切断し、加熱せずに多段式の圧造機で数回打って成形します。フェルールと 3/4″ までのホース継手はこの方法で作ります。
その後の工程は共通で、機械加工、寸法とねじの検査、クロメート処理を施した亜鉛めっき、最終検査、梱包へと進みます。主な部品グループがどの工程を通るかを図に示します。
- 棒材
- 自動旋盤または CNC 旋盤
- ゲージによるねじ検査
- 亜鉛めっき
- 最終検査
- ビレット
- 加熱
- 熱間鍛造
- バリ抜き
- ショットブラスト
- CNC 加工
- 亜鉛めっき
- 最終検査
- 線材
- 冷間圧造
- 焼なまし
- 亜鉛めっき
- 硬さ検査と試しかしめ
- 線材
- 冷間圧造
- CNC 加工
- 亜鉛めっき
- 最終検査
- ビレット
- 加熱
- 熱間鍛造
- ショットブラスト
- ヘッドとシール面の加工
- 亜鉛めっき
- シール面とヘッド厚さの検査
アダプタ:棒材から、そして鍛造品から
ストレートアダプタ、レデューサ、プラグ、ニップルは棒材から旋削します。棒材は自動的に機械へ送られ、部品は一つのサイクルで加工されます。端面削り、外径、貫通穴、シール用のコーンまたはシール面、ねじ、溝、突っ切りです。反対側の端はサブスピンドルで、あるいは部品をつかみ直してから仕上げます。六角部のあるアダプタは引抜き六角棒から作るか、同じ機械で二面幅をフライス加工します。
エルボ、ティー、クロス、スイベルナット付きアダプタの本体は鍛造します。棒材をビレットに切断し、1150〜1200 °C に加熱してプレスで鍛造します。上下の金型の間からはみ出した余分な金属をバリといい、専用の型で打ち抜きます。スケールはショットブラストで除去します。鍛造品はすでに本体の形をしているため、機械では各端部の端面、ねじ、シート部を加工するだけです。穴は本体の内部で交わるように別々の方向から加工し、交差部のかえりは必ず取り除きます。そうしないと金属の粒子が油圧作動油に混入するからです。
エルボは無垢のブロックから削り出すこともでき、小ロットではそうすることもあります。しかしその場合、ブロックの大部分が切りくずになり、金属の繊維も断ち切られます。鍛造品では繊維が本体の輪郭に沿って角を回り込むため、荷重が最も大きい部分でこそ強度が高くなります。ただし、鍛造には金型が必要で、金型はある程度のロットがなければ元が取れません。そのため鍛造品には最小発注数量が設けられることがありますが、棒材から旋削する部品は小ロットでも製作できます。
フェルール:線材からの冷間圧造と欠かせない焼なまし
フェルールは多段式の冷間圧造機で作ります。低炭素鋼の線材はコイルで納入され、寸法どおりに引き抜かれ、金型内で金属が流れやすくなるようにリン酸塩の潤滑皮膜が付いています。圧造機は線材を矯正してビレットを切り取り、連続する金型で数回打って有底の円筒形を作り、底を打ち抜いて、外側と内側の形状を仕上げます。金属は切りくずを出さずに金型内を流れるため、材料のロスはほとんどなく、一台の機械で毎分数十個のフェルールを生産できます。
ただし、冷間圧造には欠点もあります。金属を加熱せずに変形させると強化され、硬さが上がって延性が下がります。これを加工硬化といいます。フェルールでは加工硬化は許されません。かしめの際、フェルールは塑性変形してホースをしっかりと締め付けなければならないからです。加工硬化したフェルールは、特に寒い時期に端部やセレーション部で割れたり、不均一にかしめられてホースの保持力が落ちたりすることがあります。
そのため、圧造後のフェルールは必ず焼なましします。650〜700 °C に加熱して保持し、ゆっくり冷却します。金属が再結晶して加工硬化が取り除かれ、フェルールは再び延性を取り戻します。外から見ると、焼なましをしていないフェルールは正規品とまったく同じで、違いが分かるのは硬さ試験機か試しかしめだけです。ですから、どの仕入先でもこの工程を確認する価値があります。
炉から出したフェルールは硬さを検査し、各ロットから数個をホースに試しかしめして調べます。端部やセレーション部に割れがあってはなりません。内径と肉厚はロットごとに検査し、それが済んでからフェルールをめっき工程に回します。
3/4″ までのホース継手:同じ機械で製造
3/4″(DN20)までのホース継手も同じ冷間圧造機で作ります。線材から、つばとホース差込部を持つニップルの素材を圧造します。その後、CNC 機械で穴をあけ、ねじを切り、シール用のコーンまたはシール面を加工し、差込部にホースを保持する環状溝を旋削します。圧造はニップルにもフェルールと同じ利点をもたらします。材料のロスがほとんどなく、金属の繊維が部品の輪郭に沿うことです。
3/4″ を超えると圧造は採算が合わなくなります。成形力は部品の断面とともに大きくなり、大型で高価な機械が必要になるからです。そのため 1″ 以上の継手は鍛造するか、棒材から旋削します。
かしめの際、ニップルとフェルールの役割は異なります。ニップルは形状と内径を保たなければならず、フェルールはホースをしっかり締め付けなければなりません。そのため、焼なましが欠かせないのはフェルールのほうです。
鋼種
中国の工場では鋼を国家規格 GB/T で表記し、証明書に記載されるのもこの鋼種です。表に、油圧継手に一般的に使われる鋼種と、それに最も近い海外の相当鋼種を示します。個々のロットの鋼種は材料証明書に記載されます。
| 部品 | 素材 | 中国での鋼種 | 相当鋼種 EN / AISI |
|---|---|---|---|
| フェルール | 線材、冷間圧造 | 10、20;SWRCH10A、SWRCH22A | C10, C22 / 1010, 1020 |
| 3/4″ までのホース継手 | 線材、冷間圧造 | 20;SWRCH22A | C22 / 1020 |
| ストレートアダプタ、プラグ、ニップル | 棒材 | 45、まれに 35 | C45, C35 / 1045, 1035 |
| エルボ、ティー、クロス | 鍛造品 | 20、35、45 | C22, C35, C45 / 1020, 1035, 1045 |
| ナット | 冷間圧造または六角棒 | 20、35、45 | C22, C35, C45 / 1020, 1035, 1045 |
| 6000 psi フランジ継手 | 鍛造品 | 45 | C45 / 1045 |
| ステンレス仕様 | 棒材、鍛造品 | 06Cr19Ni10、06Cr17Ni12Mo2 | 1.4301, 1.4401 / 304, 316 |
工場の書類ではいくつかの表記体系が使われます。
- 10、20、35、45 は GB/T 699 による優良炭素構造用鋼です。数字は平均炭素量を万分率で表したもので、45 鋼の炭素量は約 0.45 % です。工場の書類では数字の後に「#」が付くことが多く、「45#」は同じ 45 鋼を指します。
- SWRCH と ML は冷間圧造用鋼です。SWRCH は JIS G3507 による日本の表記で、中国の製鋼所もこれを使います。ML は GB/T 6478 による中国の表記で、例えば ML08Al です。
- 記号が Y で始まる鋼種は GB/T 8731 による快削鋼で、硫黄や鉛を添加して切削しやすくしています。例えば Y15Pb はアメリカの 12L14 に近い鋼種です。
- 06Cr19Ni10 と 06Cr17Ni12Mo2 はステンレス鋼で、AISI 304 と 316 に相当します。中国の書類では日本の表記で SUS304、SUS316 と書かれることがよくあります。
材料証明書
製鋼所はヒート(溶解)ごとに、ヒート番号、化学成分、鋼の機械的性質を記載したミルシート(鋼材検査証明書)を発行します。この種の書類の種類は欧州規格 EN 10204 で定められています。中国ではこれに当たるのが GB/T 18253 で、国際規格 ISO 10474 と同一であり、書類の種類も番号も同じです。種類番号の最初の数字は、結果が何に基づくかを示します。2 はメーカーの日常的な製造管理、3 は実際に納入する製品そのものの試験です。購入者にとって特に重要なのは次の二種類です。
2.2試験報告書
メーカーが製品の注文適合を表明し、日常的な製造管理の結果を記載します。試験したのは同じ製造工程の製品ですが、お客様が購入するロットそのものとは限りません。書類はメーカー自身が発行します。
3.1検査証明書
結果は実際に納入するロットそのものの試験から得られ、書類には製造部門から独立した検査担当者が署名します。仕様書や入札で材料証明書を求められる場合、通常は 3.1 を指します。
このほか、試験結果を含まない注文適合の宣言である 2.1 と、3.1 と同じ内容で、さらに購入者の検査員または独立した検査機関が結果を確認する 3.2 もあります。ロットの材料について 3.1 の証明書が必要な場合は、お問い合わせの際にお知らせください。めっきと塩水噴霧試験については、記事「材質・表面処理」で取り上げています。
6000 psi フランジ
SAE J518 の Code 62 フランジ継手(ISO 6162-2)は、すべてのサイズで 42 MPa(420 bar)に対応しています。Code 61 フランジの定格圧力はこれより低く、しかもサイズが大きくなるほど下がります。420 bar に耐えるため、Code 62 のフランジヘッドは径を大きく、厚さを厚くし、ボルトの間隔も広くとっています。例えば 2″ の継手では、Code 61 のヘッドは直径 71.4 mm、厚さ 9.53 mm、Code 62 のヘッドは直径 79.4 mm、厚さ 12.57 mm です。そのため Code 61 のフランジとは互換性がありません。
フランジ継手の素材は鍛造します。フランジヘッドは差込部よりずっと大きく、小さなサイズでは二倍以上あります。ヘッドの径の棒材から旋削すれば、金属の大部分が切りくずになってしまいます。さらに重要なのは、鍛造品ではヘッドから差込部への移行部を金属の繊維が回り込むことです。ここは部品で最も負荷の大きい部分で、ヘッドの背面を割りフランジが押さえ、内側からは脈動する圧力がかかります。
加工で最も厳しい要求があるのはシール面とヘッドです。シール面について規格が認めているのは円周方向の工具痕だけで、粗さは Ra 3.2 µm 以下です。この面に半径方向の傷があると、それが漏れの通り道になるからです。Oリング溝は規定の寸法どおりに加工し、リングが決められた量だけつぶれるようにします。ヘッドの厚さは狭い公差内に収めます。そうしないと、割りフランジが全周にわたって均一にヘッドをポートへ押し付けられません。
6000 psi のフランジ継手には三つの仕様があります。編組ホース 1SN・2SN 用、スパイラルホース 4SH 用、そして皮むきしたホース用のインターロック仕様です。インターロック仕様では、かしめるとフェルールがニップルと機械的にかみ合うため、この接続のフェルールとニップルは組み合わせを決めたペアとして製造します。
中国の工場の特徴
当社は浙江省諸暨市の店口鎮にあります。ここは中国最大級の金属加工の集積地で、大きな工場から金型や治具を作る小さな工房まで、数千の企業が操業しています。継手の生産にとっては、棒材、線材、金型、切削工具がすべて同じ地域でそろうため、サプライチェーンが短いということを意味します。
- 製品別・工程別の分業。中国では生産を分けるのが一般的です。フェルールを作る拠点はフランジを削らず、鍛造工場は複数の機械加工工場に鍛造品を供給します。各拠点が自分の部品に合わせて設備、人員、検査を整えるため、汎用工場では実現しにくい価格になります。当社での体制は「工場」のページでご覧いただけます。
- 高い設備稼働率。自動旋盤や CNC 機械は昼夜を問わず稼働し、一人のオペレーターが通常数台の機械を受け持ちます。そのため大量生産は安価になり、小ロットでは段取り替えの費用が価格のかなりの部分を占めます。
- 共通の品番体系。多くの中国の工場は、20411、26711、87611 といった同じ継手の品番を使っています。ある工場のカタログの品番は、たいてい別の工場でも通じます。当社のカタログもこの品番を使っています。部品そのものは SAE、ISO、DIN、BS、JIS などの国際規格に従って製造され、材料は中国の GB/T 規格で表記されます。
- 同じ品目でも価格が違う。同じカタログ品目でも工場によって価格が大きく異なることがあり、その差はほとんどの場合、写真には写らない部分にあります。鋼種、フェルールの焼なまし、ねじの精度、亜鉛めっきの厚さ、クロメート処理の種類です。
ですから、仕入先を選ぶときには、当社を含め、いくつか質問をしておく価値があります。
- 部品がどの鋼で作られているか、その証明書があるか。
- フェルールは圧造後に焼なましされているか、硬さをどのように検査しているか。
- ねじとシート部を何で、どのくらいの頻度で検査しているか。
- 亜鉛めっきの厚さはどれくらいか、どのクロメート処理を使っているか、白錆が出るまで塩水噴霧に何時間耐えるか。
- ロットにどのような表示をしているか、その表示から試験成績書をたどれるか。